"Life on Mars" 「火星人はいるの?」 David Bowie デビッド・ボウイ

永遠のスター、デヴィッド・ボウイ。その最初期の名曲を解説します。

よいレビューがありそれを解説に引用します。ちょっと後半が難しいけど。

「『Life on Mars』を聞くためだけにでも本作を買うべきだ。散々指摘されていることだが日本版では『Life on Mars』がいまだに『火星の生活』というマヌケな邦題に誤訳されており、私はこれを見る度に、自分が文盲だらけの南洋の島国に住まわされているようで悲しくなってしまう。
『Life on Mars』で語られている大まかなストーリーは次の通りだ。家庭に居場所がない少女が仕方無く映画館に行くが、(・・・)彼女の思考は切れ切れに移ろい、いつしか彼女は、目下彼女の最大の関心事である "Is there life on Mars?" (言うまでもなく「火星には生命体が存在するか?」という意味で、これ以外には訳しようがないっ)という大問題を考えあぐねている…。
ところで誰も指摘していない(と思う)が、『Life on Mars』の歌詞は、明らかに Beatles(つうかJ.レノン)の『A Day in the life』に対するアンサー・ソングなのである。(・・・)レノンの詩では、非常に曖昧ではあるものの、集中力の欠如を特徴とする「ワレワレ世代」の性格的傾向、この傾向を「三無主義 = 無気力・無関心・無責任(だったかナ)」などとして否定的に語ることに対するやんわりとした違和感が唱えられていたのだが、Bowie の詩はこれを一歩進めて、この違和感を「視線の一点集中システム(例えば映画というメディア)に対する根本的な懐疑」へと発展させた、と見るべきだろう。しかもこのような歌詞を『My Way』という「この道一筋!」を賛美する一点集中信奉世代の応援歌と全く同じコード進行に乗せて歌うとは、Bowie という人はあまりにも意地が悪い。」(以上アマゾンkkoichiさんのレビュー)  ま、とにかくライフが生活の意味でないことは多分正しい。

 

It's a god-awful small affair
それは本当にひどいが─世界にとっては小さな出来事だ
To the girl with the mousy hair
くすんだ茶色の髪の毛の少女に起きたこと
But her mummy is yelling, "No!"
母は大声で怒鳴る 「ダメ!」
And her daddy has told her to go
父は少女に言う 「出て行け」
But her friend is nowhere to be seen
しかし彼女には友達がいない
Now she walks through her sunken dream
それで少女は水底のような孤独な夢の中を歩いてゆく
To the seat with the clearest view
一番スクリーンがよく見える席へ
And she's hooked to the silver screen
そして少女は映画に心を奪われたのだ

 

水底を歩いてゆくというイメージが美しいね。
But the film is a saddening bore
しかし映画は悲しいぐらいに退屈
For she's lived it ten times or more
少女が10回、もしくはそれ以上繰り返してその中で生きるには
She could spit in the eyes of fools
少女は愚かな登場人物につばを吐くことに成功した
As they ask her to focus on
観客が少女に「集中しなさい」と言うけれども

Sailors fighting in the dance hall
ダンスホールで喧嘩をしている水夫たち
Oh man! Look at those cavemen go
おお、あの洞窟に住む人たちを見て
It's the freakiest show
実に奇妙なショーよ
Take a look at the Lawman
ほら、保安官を見て
Beating up the wrong guy
間違って人を殴っているから
Oh man! Wonder if he'll ever know
ああ、いつか彼も気づくだろうか
He's in the best selling show
自分がいちばん売れてるショーに出てることに
“Is there life on Mars?”
“火星人はいるの?”

っていう

 

悲しいストーリーで、詩的で、ボウイにしか描けない、実体験の世界。

It's on America's tortured brow
合衆国は眉をひそめている
That Mickey Mouse has grown up a cow
かわいいミッキーが大きな牛になっちまって
Now the workers have struck for fame
労働者たちは名誉をかけてストライキに入る
'Cause Lennon's on sale again
レノンが再ブレークしたからだ
See the mice in their million hordes
百万ものネズミ色の人の群れ
From Ibiza to the Norfolk Broads
イビサ島からノーフォ-クのブローズまで列は続く
Rule Britannia is out of bounds
ブリテンをひとつに」の掛け声はもう終わり
To my mother, my dog, and clowns
母さん、うちの犬、そして道化たちも言わなくなった

 

なぜかレノンに言及がある。ミッキーマウスはアイドルのレノンで、それが社会運動の大物になっていた当時。

多少の共感はあるけど、自分はまだそんな世界よりも、自分とよく似た

少女の孤独を歌う・・・


But the film is a saddening bore
映画は悲しいほど退屈
'Cause I wrote it ten times or more
なぜって自分が10回、もしくはそれ以上も夢で書いたものだから
It's about to be writ again
それが今再び書かれつつある
As I ask you to focus on
僕がキミに「映画に集中しなさい」と言う時に


Sailors fighting in the dance hall
ダンスホールで喧嘩をしている水夫たち
Oh man! Look at those cavemen go
おお、あの洞窟に住む人たちを見て
It's the freakiest show
実に奇妙なショーよ
Take a look at the Lawman
ほら、保安官を見て
Beating up the wrong guy
間違って人を殴ってるよ
Oh man! Wonder if he'll ever know
ああ、いつか彼も気づくだろうか
He's in the best selling show
自分が今いちばん売れてるショーに出ていることに
“Is there life on Mars?”
“火星人はいるの?”っていう

少し悲しいのがいつものボウイ。

家出少女に寄り添い続けたその魂。

Life On Mars?

Life On Mars?

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